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【レポート】海外のサステナビリティ先進事例から考える「信州でできること」

エリア : 県内全域

2023年2月5日(日)に「国際ゼロカーボン会議プレイベント&つばさプロジェクト報告会」をくらしふと信州拠点(オンライン併用)で開催しました。

「国際ゼロカーボン会議」とは、長野県とフィンランドの教育機関が連携し、気候変動や環境問題に関心のある長野県内・世界中の学生、企業、NPO等が集まり取組の共有や意見交換を行うオンライン会議です。

そして、「つばさプロジェクト」とは、長野県内の高校生が環境先進国(オランダ、スイス)の視察や現地の若者との交流を行うサステナビリティ探究プログラム。視察を通じて、地球規模の環境課題を自ら考え行動できる人材を育成し、県内の気候変動に対する機運を醸成することを目的としています。

今回は、そんな2つの海外プログラムかけ合わせたイベントを実施しました。本レポートでは、イベントの様子をお伝えします。


国際ゼロカーボン会議の機運を高めるプレイベント

前半の「Part 1国際ゼロカーボン会議プレイベント」では、会議の運営をサポートしてくれている学生実行委員が進行を務め、2022年に開催した国際学生ゼロカーボン会議の様子や“学生プレゼンターのその後”をインタビューした動画の紹介、そして今年の国際ゼロカーボン会議2023の魅力をPRしました。

学生実行委員力作の動画はこちら

<国際ゼロカーボン会議学生実行委員>
・屋代高等学校2年 轟 真帆さん
・上田高等学校2年 桑田 彩芭さん
・京都大学大学院 地球環境学堂修士1年 佐野 栞さん
・松本県ヶ丘高等学校2年 早坂 有紀さん
・清泉女学院大学 人間学部3年 山﨑 結花さん

気候変動をめぐる海外トレンドとは?

続いて、イクレイ(ICLEI)日本 内田東吾事務局長より「COP27・COP15の現場から」と題して講演いただきました。そもそも国連が気候変動や生物多様性をテーマに国際的な会議を開催するに至った経緯や、これまでの気候変動対策に対する世界各国の温度感、姿勢の変化、国や経済の状況によって立場や考え方が異なっていることなどをわかりやすく教えていただきました。

持続可能な未来の構築に取り組む市、町、地域からなる世界的なネットワークであるイクレイとしては、COPなどの国際会議において、自治体レベルの現場の声を届け、国レベルの合意形成に反映してもらうよう働きかける役目を担っていらっしゃるそうです。

また、2022年11月にエジプトで開催されたCOP27(国連気候変動枠組条約第27 回締約国会議)、同12月にカナダで開催されたCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)の現場の熱量を現地の映像とともにお伝えいただき、質問コーナーでは、会場の学生等から次々に質問が寄せられました。

「サステナビリティとは環境だけじゃない」高校生が海外視察で学んだこと

後半の「Part 2信州つばさプロジェクト サステナビリティ探究コース報告会」では、信州つばさプロジェクトに参加した3人の高校生による報告とディスカッションを行いました。

今年度、県では県教育委員会と連携し、高校生の海外留学支援プログラム「信州つばさプロジェクト」に環境先進国の視察を目的とする「サステナビリティ探究コース」を新設しました。2022年12月、県内高校生がサーキュラーエコノミーをテーマにオランダ(アムステルダム、ロッテルダム)、エネルギー自立地域、交通・まちづくりをテーマにスイス(バーゼル)を訪問。また、スイスでは現地の高校生とお互いの取組を発表し合うとともに、日本のお菓子を紹介しながらの交流会も行いました。

この信州つばさプロジェクトに参加した高校生が、現地で感じたことや今後取り組みたいアイデアを発表しました。

<信州つばさプロジェクト参加高校生>
下諏訪向陽高等学校3年 藤堂 光姫さん
松本深志高等学校2年 東本 遥大さん
野沢北高等学校1年 茅根 羚さん

発表では、
・環境先進国だからといってみんなが意識が高いわけではないのでは
・意識が高くなくてもできる取組や仕組みが必要ではないか
・“サステナビリティ”とは、環境問題や自然環境の話だけではない
と、鋭い推察力や観察眼に参加者もうなずくばかり。

取り組みたいアイデアとしては、
・農地で刈った雑草を捨てずに利活用するために雑草から繊維をとって布を作るには?
・食品ロスなどの廃棄されてしまう資源を有効活用するには?
・安いだけが価値判断の基準ではない、消費者としての意識を変えるには?
・学生のアイデアを県や企業で買い取ることのできる仕組みづくり
・実験的施設(村)をつくって、興味のある高校生が集まり、今の暮らしの課題感に気づき、昔の暮らしの知恵を学ぶ
など様々なアイデアが出てきました。

発表の後は、異なる学校の高校生や大学生、県内外の企業の方、行政職員が混ざった3つのグループに分かれ、彼らのアイデアを一緒にブラッシュアップしました。

アイデアを深掘りしたり、企業の方からは「参考になる取り組みがあるよ」と教えてもらったり、新たな気づきの中で具体的な課題も見えてきたようです。

現地では英語でのコミュニケーションにも自信がつき、帰国してからは地域を見つめる目も変わった彼らが、今後どんなアクションをするか、楽しみです。

(執筆:藤原)

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